今回の作品は前回の『ファインダー…』から石川さんつながりで選んでみました。
原 作:ヨネダコウ(Kou Yoneda)
発売元:大洋図書Dramatic CD Collection 2009年
CAST :石川英郎(外川陽介)×野島健児(嶋俊亜紀)
/森川智之(小野田)×野島裕史(出口)
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大洋図書クラフトシリーズ |
外川と嶋の出会い。
嶋曰く”最悪”だったそれは逆に強烈な印象を与えたのだと思います。
仕事はできるけれど大雑把に見える外川に 最初のうちは反感すら持っていたような嶋でした。
けれど 外川の持つ繊細さや優しさに気づくうち いつの間にか”学習しろ”と自分自身に警告を発するほどの大きな存在になっていきます。
一方の外川も嶋の反応を面白がっているうちに”かわいい”と感じるようになり それが”かけがえのない可愛さ”へと発展していきます。
外川の何事にも捕らわれない感性は”男同士”という垣根をあっさりと飛び越え ひたすら真っすぐに自分の心に正直に行動します。
それは時には本能だけで行動しているようにも見え 嶋にとっては理解を超えていたのかもしれません。
それゆえに嶋は自分にブレーキをかけるために外川の過去を理由にします。
どんな人間にとっても過去を変えることは不可能です。もちろん外川にとっても。
つらい過去であればあるほど外川の苦しさはどうしようもなく 外川の転勤をきっかけに二人に別れが訪れます。
時間と距離を置くことで嶋の気持は落ち着いたようにも見えましたが 小野田とのやりとりがきっかけで外川と過ごした日々が堰をきったように溢れ出します。
小野田の嶋に対する心配りが 外川からの依頼であったことを教えられ 嶋の気持は大きく揺らぎます。そして……。
■■■■◆about music & manga
この作品の原作はマンガです。
作者のヨネダコウさんは空気感を描くのが特に上手いかたです。
その感覚がCDでも とても良く出ています。
特にOSTが印象的に使われて 外川と嶋の感情を代弁しています。
他のCDを聞いていて”?”と思うシーンにぶつかることが多々あります。
マンガの場合”絵”ですべてを語るコマがありますよね。会話の無いシーンですが 情感だったり伏線だったりが込められているわけです。
でも CDはその部分も音で表現しなければならないわけです。
ところが大半のCDでは間を取ることで終わりにしてしまい 上手く前後がつながらなくなってしまうことがあるのです。
そこのところをこの作品はOSTでカバーしているように思えるのです。
二人の感情の起伏 それぞれの遣り切れなさ 切なさ。。。惹き込まれます。映画のシーンのようです。
■■■◆◆about impressions
『どうしても…』のCASTを見ていただければわかるように石川さんのお名前は×の前に書いてあります。
ところが『ファインダー…』のほうは×の後ろになっています。
これはBLCDのお約束で 前に書いてあるほうが”攻め”後ろに書いてあるほうが”受け” ということになっているからなのです。
クールビューティーで実は少し甘えたがりの飛龍とは 対角線上にいるような外川を演じる石川さんの演技を味わっていただけることと思います。
どちらかと言えばガサツな外川の大人の優しさ。嶋とのやり取りも抑え気味で切なくなります。。。
頑なだった嶋の心がほどけていく最後の辺りは 原作を読んでいなくても情景が目の前に現れるようです。
さて このCDのもう一つの聴き所は後半のお話に出てくる帝王森川演ずる小野田と野島兄演ずる出口のお話し。
こちらは後日スピンオフ作品として別作品になりました。ストーリーは同じなのですが若干このCD
と違う部分があります。と聞き比べてみても面白いですよ。
あれ。。。 気付かれましたか?”兄”と書きました。
Castをご覧ください。”野島”が二人いますよね。そうです。野島兄弟です。そろい踏みです。
直接対決ではありませんがスピンオフ作品の中では四人が顔を合わせるシーンもあります。
BLCDではこんな風に作品以外の楽しみ方もいろいろとできるのです。