真崎ひかるさんの小説をご紹介します。
冬山を守る山岳警備隊とその周りの人々のお話しです。
近頃はBLCDにはほぼ出演されなくなってしまった井上和彦さんがチョイ悪オヤジ(?)的な感じで登場します。
オヤジ趣味 井上さんファンにはお勧めの一枚です。
『白の彼方へ』
(Shiro no kanata e)
原作:真崎ひかる(Hikaru Masaki )
イラスト : 高峰 顕
発売元:サイバーフェイズ 2008年
CAST:中村悠一(塩見 岳・橋田稜)×緑川光(伊澤朝陽)
井上和彦(浅田崇文)×緑川光
■■■■■about story
北アルプスの山荘でのお話しです。
山荘の管理人を務める伊澤朝陽(いざわあさひ)の前に 死んだ恋人そっくりの男が現れます。
新人山岳警備隊員の塩見岳(しおみがく)でした。
しかも彼を連れてきたのはベテラン山岳警備隊員の浅田崇文(あさだたかふみ)。
美人と名高い朝陽に塩見は一目ぼれしたと伝えるのですが 朝陽の心は複雑です。
浅田と朝陽は大人の関係です。初めて塩見を山荘に連れてきた日にも二人は関係をもっています。しかも塩見はそのことに気付いています。
死んだ恋人と全く逆の性格で同じ顔をした年下の男に 朝陽の心は乱れます。
塩見に冷たい態度をとっても 彼はあきらめずに朝陽の元を訪れます。
その様子を見ていた浅田から関係を清算しようと言われ朝陽は戸惑います。
この山へ来た当初の朝陽は 恋人の死を受け入れていない状態でした。
それに気づいた浅田が感情を吐き出させようとしたことから始まった関係です。愛だの恋だのとは違う関係でした。
そう浅田に告げられた朝陽も ようやく自分が死んだ恋人の顔を思い出すことができずにいることに気付くのです。
ある日 朝陽の山荘に泊まっていた学生パーティーが遭難します。捜索に来たのは浅田と数人の隊員でした。
幸いなことに救助することができ ヘリコプターで下山する彼らを見送っていたときです。浅田から塩見が滑落したことを告げられます。
激しく動揺する朝陽を 浅田は警備隊の本部に連れて行き 状況を見守ります。
緊張感が張り詰める中 誰かの話し声が朝陽の耳に刺さるのです。塩見が10年前に滑落した橋田稜(はしだりょう)の弟だと。
浅田を問い詰めますが 塩見本人に黙っていてくれと頼まれたと答えが返ってきます。
そんな時 塩見が無事だったと連絡が入ります。
一週間後 傷の癒えた塩見が朝陽を訪ねてきます。
自分は橋田稜の弟であること。兄の葬儀の時に見かけた朝陽に一目ぼれをしたこと。山岳警備隊に入るために5年をかけて親を説得したことを話します。
けれども朝陽は素直にその言葉を受け入れることができません。山に愛するものを奪われる不安を抱えることに臆病になっていたからです。
そんな朝陽に塩見は約束します。
山では死なない どんなところからでも朝陽の元に帰ってくる と。
この言葉でようやく朝陽は決心します。部屋に塩見を招き入れ 冷えた心と体を温めあうことを。
■■■◆◆about impressions
なかなか珍しい設定のお話しです。
冬山 死んだ恋人 そっくりな弟。。。こう来ると純愛な感じですが ここで浅田が絡んでくるので 三角関係かと思いきや そうでもない。
塩見にすれば 一目ぼれした相手との劇的再会だったのに 相手は兄貴の元恋人。しかも どうやら兄貴のことを引きずっているようで その上 自分の職場の先輩とセフレのような関係だと。。。そりゃショックでしょうとも。
それでもあきらめずに 一途に思いをぶつけてくるんですよ。”こんなに綺麗な人初めて見ました”だの”一目ぼれだなんて本人の前で言わないでください”なんて ねェ。
しかもせっせとお土産持って訪ねてくるんだもの。
これはやっぱりグラッときますね。来なきゃおかしいでしょ(笑)。
そんな二人を見て案外あっさりと身を引く浅田さん。大人だね。カッコイイね。
と思うでしょ。実はねアプローチしてる相手がいたんだね。他にね。
CDでは朝陽と塩見のお話しだけですが 原作の方は次の章があります。それが山岳警備隊の本部に駐在する医師と浅田のお話し。浅田さん猛アタックしてます。
CDに入ってるお話しだけだと 浅田さんいい人。って単純に思えるけど後のお話しも併せて読むとまた印象が違います(笑)。多分本人そんな気無いんだろうけど ちょっとズルい。
もちろん大人の男のですからね。いいんです。
それに井上さん 言うことありません。原作よりちょい悪度が上がっているような気がします。
朝陽と浅田のHシーンはかなり短めです。それでも井上さんやらしいんですよ。ホント。
さて 本編の塩見と朝陽。中村さんと緑川さんぴったりですね。元気で純情だけどちょっと甘い感じの中村さんと 気が強いのにどこか陰のある緑川さん。
冒頭から後半まで二人には会話らしい会話がないんですが そのギクシャクした感じがいいです。
最後の最後でお互いの気持を伝え合うシーン 激情でもなく懇願でもなく 淡々と思いを口にするところが真摯でいいですね。誠実さが伝わってきました。
そのあとHになだれ込むところでは 塩見がちょっと年下っぽく拗ねてみたりガッツいてみたり 若いのもこれはこれでいいものです。こちらも短めなのが残念です。
基本 三人のお話しですが 遭難シーンだったり本部の緊迫感だったり 何でもない日ののんびりした山荘の雰囲気だったり とても良く伝わってきます。
派手さはありませんが良作だと思います。是非 一度聴いてみてくださいね。
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